SonicOS 7 プロファイル オブジェクト
QoS 級割の管理
QoS 級割の構成は、「ポリシー >ルールとポリシー > アクセス ルール > ルールの追加」ページの「ルールの追加/編集」ダイアログの「トラフィック シェーピング」タブで行います。
SonicOS のアクセス ルールで管理される 802.1p および DSCP 級割では、「なし」、「維持」、「指定」、「参照」の 4 つの方針が提供されます。DSCP の既定の方針は「維持」で、802.1p の既定の方針は「なし」です。
下の表では、両方の級割方式での各方針の動作について説明します。
動作 | 802.1p (第 2 層 CoS) | DSCP (第 3 層) | 補足 |
---|---|---|---|
なし |
(アクセス ルールにより定義された) このトラフィック等級に一致するパケットがイーグレス インターフェースから送出されるとき、802.1p タグは追加されません。 |
DSCP タグは明示的に 0 に設定 (リセット) されます。 |
このトラフィック等級のターゲット インターフェースが VLAN 副インターフェースの場合、802.1q タグの802.1p 部分が明示的に 0 に設定されます。このトラフィック等級がVLAN 向けであり、優先順位付けに 802.1p が使用されている場合、「維持」、「指定」、「参照」方針を使用した特定のアクセス ルールをこのトラフィック等級に定義する必要があります。 |
維持 | 現存する 802.1p タグが維持されます。 | 現存する DSCP タグが維持されます。 | |
指定 | 表示されるドロップダウン メニューから明示的な 802.1p タグ値 (0~7) を割り当てることができます。 | 表示されるドロップダウン メニューから明示的な DSCP タグ値 (0~63) を割り当てることができます。 | 802.1p または DSCP 方針のどちらかを「指定」に設定し、もう一方を「参照」に設定した場合、明示的に指定された割り当てが最初に行われ、その後、もう一方がその割り当てに従って参照されます。 |
割付 | 「オブジェクト > プロファイル オブジェクト > QoS 級割」ページで定義された割付設定が、DSCP タグから802.1p タグへの割付に使用されます。 | 「オブジェクト > プロファイル オブジェクト > QoS 級割」ページで定義された割付設定が、802.1 タグからDSCP タグへの割付に使用されます。追加の「802.1p 級割を、DSCP 値に優先する」チェックボックスが表示されます。このチェックボックスを選択すると、割り付けられた 802.1p 値が、クライアントにより設定されたDSCP 値に優先して使用されます。これは、DSCP CoS 値を設定しているクライアントをオーバライドするのに有用です。 | DSCP と 802.1p の両方で方針として「参照」を設定した場合、割付は一方向でのみ発生します。 VLAN から 802.1p タグとともにパケットが到着した場合、DSCP が802.1p タグから割り付けられます。 パケットが VLAN 宛ての場合、802.1p が DSCP タグから割り付けられます。 |
例として、下の画像では両方向の DSCP タグの方針を図示しています。
192.168.168.100 上のウェブ ブラウザから 10.50.165.2 上のウェブ サーバに対して HTTP アクセスを行うと、内部 (ペイロード) パケットと外部 (カプセル化 ESP) パケットに DSCP 値 8 のタグが付けられます。パケットがトンネルの反対側から出て、10.50.165.2 に配送されるとき、DSCP タグ値 8 が使用されます。10.50.165.2 からトンネル経由で応答パケットを (最初の SYN/ACKパケットから) 192.168.168.100 に送り返すとき、アクセス ルールにより、192.168.168.100 に配送される応答パケットに DSCP 値 8 のタグが付けられます。
この動作は、DSCP と 802.1p 級割の 4 つの QoS 方針設定のすべてに適用されます。
この動作の 1 つの実用的な応用例として、VPN ゾーン宛てのトラフィックに対する 802.1p 級割ルールの設定があります。VPN を横断して 802.1p タグを送信することはできませんが、VPN を横断して返された応答パケットに対して、トンネルからの出口で 802.1p タグを付けることができます。そのためには、物理的な送信インターフェースで 802.1p のタグ付けを有効にし、「[ゾーン] > VPNアクセス ルール」で「なし」以外の 802.1p 級割方式を設定する必要があります。
関連するネットワーク デバイスの 802.1p との互換性を確認し、該当する SonicWall インターフェース上で 802.1p 級割を有効にした後は、802.1p タグを管理するためにアクセス ルールの設定を開始できます。
下の表に示すように、リモート サイト 1 ネットワークに対して 2 つのアクセス ルールを構成することができます。
設定 | アクセス ルール1 | アクセス ルール2 |
---|---|---|
「一般」ビュー | ||
動作 | 許可 | 許可 |
送信元ゾーン | LAN | VPN |
送信先ゾーン | VPN | LAN |
サービス | VoIP | VoIP |
送信元 | LAN プライマリ サブネット | メイン サイトのサブネット |
送信先 | メイン サイトのサブネット | LAN プライマリ サブネット |
許可されたユーザ | すべて | すべて |
スケジュール | 常に有効 | 常に有効 |
Enable Logging(ログの有効化) | 有効 | 有効 |
断片化パケットを許可する | 有効 | 有効 |
「Qos」ビュー | ||
DSCP 級割の方針 | 割付 | 割付 |
802.1p 級割を、DSCP 値に優先する | 有効 | 有効 |
802.1p 級割の方針 | 割付 | 割付 |
最初のアクセス ルール (「LAN > VPN」を管理) は、以下の効果を持ちます。
- VPN 経由で LAN プライマリ サブネットからメイン サイトのサブネットに送信される、(サービス グループにより定義されている) VoIP トラフィックは、DSCP タグと 802.1p タグの両方に対して評価されます。
「割付」に対する DSCP 級割方式と 802.1p 級割方式の組み合わせについては、「QoS 級割の管理」の表で説明しています。
送信されたトラフィックに 802.1p タグ (例えば、CoS=6) のみが含まれている場合、VPN への内部 (ペイロード) パケットは、DSCP 値 48 でタグ付けられます。また、外部 (ESP) パケットも値 48 でタグ付けられます。
メイン サイトのファイアウォールによって戻りのトラフィックに DSCP タグ (CoS=48) が付けられていると仮定した場合、出口において CoS=6 の 802.1p タグが戻りのトラフィックに付けられます。
送信されたトラフィックに DSCP タグ (例えば、CoS=48) のみが含まれている場合、DSCP 値が内部と外部の両方のパケットで維持されます。
メイン サイトのファイアウォールによって戻りのトラフィックに DSCP タグ (CoS=48) が付けられていると仮定した場合、出口において CoS=6 の 802.1p タグが戻りのトラフィックに付けられます。
送信されたトラフィックに 802.1p タグ (CoS=6 など) と DSCP タグ (CoS=63 など) の両方が含まれている場合、802.1p タグが優先され、それに応じて割付が行われます。VPN への内部 (ペイロード) パケットは、DSCP 値 48 でタグ付けられます。また、外部 (ESP) パケットも値 48 でタグ付けられます。
メイン サイトのファイアウォールによって戻りのトラフィックに DSCP タグ (CoS=48) が付けられていると仮定した場合、出口において CoS=6 の 802.1p タグが戻りのトラフィックに付けられます。
2 番目のアクセス ルール (「VPN > LAN」) の効果を調べるには、メイン サイトで構成されたアクセス ルールを確認します (下を参照)。
設定 | アクセス ルール1 | アクセス ルール2 |
---|---|---|
「一般」ビュー | ||
動作 | 許可 | 許可 |
送信元ゾーン | LAN | VPN |
送信先ゾーン | VPN | LAN |
サービス | VoIP | VoIP |
送信元 | LAN サブネット | リモート サイト 1 サブネット |
送信先 | リモート サイト 1 サブネット | LAN サブネット |
許可されたユーザ | すべて | すべて |
スケジュール | 常に有効 | 常に有効 |
Enable Logging(ログの有効化) | 有効 | 有効 |
断片化パケットを許可する | 有効 | 有効 |
「Qos」ビュー | ||
DSCP 級割の方針 | 割付 | 割付 |
802.1p 級割を、DSCP 値に優先する | 有効 | 有効 |
802.1p 級割の方針 | 割付 | 割付 |
VPN 経由でリモート サイト 1 サブネットからメイン サイトの LAN ゾーンの LAN サブネットに送信される、(サービス グループにより定義されている) VoIP トラフィックには、着信 VoIP 通話用のアクセス ルールが適用されます。VPN ゾーンに到着したトラフィックには、802.1p タグはなく、DSCP タグだけが付けられています。
- DSCP タグ (例えば CoS=48) を含んでいるトンネルを出て行くトラフィックでは、DSCP 値が維持されます。LAN 上の目的地へパケットが配送される前に、メイン サイトのファイアウォールによって、「QoS 割付」設定 (例えば、CoS=6) に応じた 802.1p タグが付けられます。
- メイン サイトで電話を受けている VoIP 電話によって戻りのトラフィックに 802.1p タグ (例えば CoS=6) が付けられていると仮定した場合、戻りのトラフィックでは、VPN を経由して送り返される内部と外部の両方のパケットにおいて、変換割付に従って DSCP タグ (CoS=48) が付けられます。
- メイン サイトで電話を受けている VoIP 電話によって戻りのトラフィックに DSCP タグ (例えば CoS=48) が付けられていると仮定した場合、戻りのトラフィックでは、VPN を経由して送り返される内部と外部の両方のパケットにおいて、DSCP タグが維持されます。
- メイン サイトで電話を受けている VoIP 電話によって戻りのトラフィックに 802.1p タグ (例えば CoS = 6) と DSCP タグ (例えば CoS = 14) の両方が付けられていると仮定した場合、戻りのトラフィックでは、VPN を経由して送り返される内部と外部の両方のパケットにおいて、変換割付に従って DSCP タグ (CoS = 48) が付けられます。
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